ひかりちゃんの悲観的絵日記

絵日記要素はあるかもしれないしないかもしれない。

深夜アニメやラノベなどに対するイメージの変遷

 小中学生の頃、深夜アニメやラノベなどに代表される文化にかなりのマイナスイメージをもっていました。不健全・不道徳・いかがわしいといったイメージです。「ハルヒ」を視聴していると公言してはならないし、ラノベを持っているところを見つかれば石を投げられる。こうした文化は公には認められておらず、楽しもうとするなら人目につかぬところでこそこそとやるしかない。そんな風に思っていました。

 この件に関して、不思議なことが2点あります。ひとつ目は、私自身が深夜アニメをそれなりに観る方だったのにもかかわらず、上のようなマイナスイメージをもっていたということです。アニメやラノベに対する無知から来る「食わず嫌い」では無かったということです。まあこれは「同族嫌悪」という便利な言葉に回収できるようなことかもしれません。もうひとつは、なぜそのようなマイナスイメージをもっていたのか、今となっては全然思い出せないということです。あの頃の自分の気持ちが分からないというか、「今となってはそういうイメージをもっていないけれど、当時の自分がそういうイメージをもっちゃっててもまあおかしくはないかな」とは思えないのです。

 時代背景を説明しますと、私が小学生の頃は深夜アニメを観ている同級生は見当たらず、『NHKにようこそ!』や『キノの旅』などを読んでいる人がわずかにいるくらいでした。中学に入ったあたりで「ハルヒ」「ゼロの使い魔」「ひぐらしのなく頃に」「コードギアス」などの第1期が始まり、深夜アニメのいわゆる黄金期?がやってきます。中学では深夜アニメを観始める人がそこそこいて、図書室に『ハルヒ』シリーズくらいなら置いてあった気がします。高校に入ったあたりで「けいおん!」が流行り、その約2年後の「まどマギ」以降、アニメを観る人はかなり増えた印象です。

 私はというと、中学では「ハルヒ」や「コードギアス」に大ハマりして、ネットで二次創作SSを読んだり、考察サイトを見たりしていました。にもかかわらず、深夜アニメを観ていると公言してはならないと考えていましたし、近所の書店のラノベコーナーにいるところを見つかると次の日から学校で後ろ指をさされると思っていました。

 ひとつ涙ぐましいエピソードを紹介します。私には「ハルヒ」が大好きな友人がいて、その人はいつも「ハルヒ」の話をしてくるので、私も一緒に話せればと思っていたのですが、上で述べたような考えがある手前、自分も観ているよとは言い出せずにいました。それで、その友人の熱意に負けて仕方なく義理で観たというていを装って、「いざ観てみると案外面白かった」みたいに言って、ようやく楽しく「ハルヒ」の話ができるようになったのです。

 高校に入ってからは自分の態度も若干軟化しましたが、アニメ好きだよ~とは極力公言せず、趣味が同じで「この人は大丈夫だな」と思った人としかそういう話はしませんでした。これまたこそこそと「けいおん!」とか「黒執事Ⅱ」とか「まどマギ」とかを観ていたように思います。なんか全体的にリア充(死語)っぽい雰囲気がよしとされる校風だったので、私も無理にそういうキャラで頑張ろうとしていました。

 浪人時代、予備校などに一切通わないで家で勉強していた私には時間があったので、このあたりから本格的に深夜アニメを観るようになりました。1クール(3ヶ月)に10タイトルくらい観ていた気がします。この頃は人と全然交流しなかったので、「深夜アニメを観ているって、人からどう思われるだろう?」などと思う場面はありませんでした、アニメやラノベなどの感想ブログをやったりして、楽しく過ごしていました。

 大学に入ると、深夜アニメやラノベを不健全なものとする雰囲気は消えていました。そういうものを鑑賞するのは何ら特別なことではなく、数ある趣味のひとつくらいに捉えられることが多かったように思います。私自身ももはや後ろめたさを感じることはなくカジュアルにアニメの話をしました。アニメも1クール8本くらい観ていました。

 以上の流れは私が思春期に入ってだんだん成長していく流れと合致しているので、私個人の事情もあって話がややこしくなっているのですが(中学時代は人の目を過剰に気にしていた、など)、深夜アニメやラノベが世間に受け容れられていく過程とおおむね合致していたようにも思います。昔は事件やそれの報道などがあって、その種のサブカルチャーに対するバッシングがひどかったとか、時代的な背景があったらしいです。そうした空気がだんだん、アニメを観る人が増えたりして、緩くなっていったのだと思います。

 恐ろしいのは、私自身の記憶の中に、アニメを観ていることによってバカにされたとか、テレビで芸能人がラノベをバカにしているのを観たとか、ネガティヴイメージを植えつけらえるような具体的な出来事が無いことです。なので今考えると「どうして私はあんなに趣味を隠したがっていたんだろう?」となります。社会的に醸成される偏見や差別意識というのはかくも私たちに気づかれずに私たちを侵食してくるものなのかな、怖いな、とも思います。ともあれ、深夜アニメやラノベに理由なきマイナスイメージをもち、そうしたイメージの定着化に一役買わないわけではないような行動をとっていたことを、ここに懺悔します。