ひかりちゃんの悲観的絵日記

絵日記要素はあるかもしれないしないかもしれない。

夏に90日間絵の練習をして思ったこと

 私は趣味でデジタルお絵描きをするのですが、絵を描くのはあまり得意ではなく、ずっとうまくなりたいな~と思っていました。そこで去年(2021年)の6月から、90日間集中的に絵の練習をしました。この記事ではそうした練習を経て自分がどう変化したか、また、そうした練習を通じて何を思うようになったかを書いていきます。

 90日の練習というのは『ダテ式おえかき塾 90日間で変わる画力向上講座』というテキストに基づいて行ったことです。この書籍は、主に人物キャラの描き方について、1日につき1つのテーマについて解説があり、与えられた課題を毎日こなすことで90日間での画力向上を目指すというものです*1。私はこれに従って、厳密に1日1課題こなすことを90日間続けました。1日の練習時間は1.5時間~2時間程度が多く、長いときは4時間くらいでした。

 先にビフォーアフター的な比較画像を載せるのがよいと思うのですが、この本を始めた頃はほとんど二次創作しか描いておらず、ここに載せられるちょうど良い時期のイラストがないので、練習を始めて1ヶ月経った7月初旬の絵を載せておきます。

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練習を始めて1ヶ月ごろの絵

 これに対して、練習の終盤、84日目の練習絵はこちらです。

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練習84日目の絵

 最後に、90日の練習を終えた後、さらに5ヶ月ほど経った現在の絵がこちらです。

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昨日描いた絵(現時点で最新)

 それぞれ線のラフさや塗りの程度が異なる、タイプの違う絵なので、パッと見で比較しづらいのですが、まあ最後のものが一番よく描けていると言っていいとは思います。そんなわけで、めちゃくちゃはっきりしているわけではないにせよ、成長はありました。ただ、どういう点で成長したかは分かりづらく、この記事ではそのあたりを考えてみようと思います。

 まず、絵の練習を始める前は「これを終えたら何も見んでもそらである程度はそれっぽいものが描けるようになるのかな~」と漠然と思っていましたが、何も見んでもそらで描けるもののレベルはまったく変わりませんでした。というかこれは15年前くらいから変わっていない気がします。私はどちらかというと「絵を描くにはとにかく資料を集めること!」と思っていたほうだったので、何も見ずに描くみたいなことに対して幻想は抱いていないつもりでしたが、それにしても練習しまくれば記憶に定着してそらで描けるものもある程度は出てくるだろうとは思っていました。しかし、これに関してはマジで進歩がないです。神絵師様の作画動画などを観ていると、何も見んでもスラスラある程度のものは描けるという人はどう考えても存在するので、そうした能力を望むことが不条理であるとまでは思えませんが、少なくとも自分に関しては、そうしたことを望むのは厳しいと思うようになりました。

 他方で、とにかく資料を集めまくって準備して描くということをやったときに出来上がるもののクオリティは上がったと思います。というか、上で述べた、そらで描く能力の上がらなさを見て、資料を集めることの大切さを痛感するようになりました。グーグルで検索して何となくそれっぽいものの写真を見るといったレベルではダメで、たとえば服のシワを描きたいなら、描こうとしている絵と全く同じポーズで自撮りするとか、影を描きたいなら描こうとしている絵と光源の位置を合わせるとか、とにかく絵の中の状況にぴったり合うような資料を自分で作ることが大事だと思いました。

 実際、上でアップした3つの絵のうち、最初の2つも自撮りをしたりFAガールにポーズをとらせたりして資料を見ながら描いてはいるのですが、最後のやつは準備量において大きな差があります。まず、それまでは素体用の資料と服装用の資料を別々に用意して頭の中で組み合わせるという方法をとっていましたが、最近になってそれらをできる限り統一するようになりました。すなわち、服を脱いだ状態で自撮りし、さらに全く同じポーズで服を着て自撮りするといった仕方で資料を作成するようにしました。また、着衣の自撮りの中でも、たとえば帽子をかぶった状態ととった状態などを細かく分け、差分をたくさん作りました。たとえばブラウスをスカートの中に入れたりシャツをパンツの上にかぶせたりするとき、重なっている衣服の下の方がどういう状態になっているのかは案外想像しづらいため、このような一部脱いで一部着るといった写真が重要でした。

 こうした工程の重要さを認識し、それを地道に実践するようになったのが一番の成長だと思いますが、では『ダテ式おえかき塾』でレクチャーされていた個々のノウハウについてはどうでしょうか。結局資料を集めまくるということが重要だったというのが結論なのであれば、90日間かけてお絵描き練習した成果自体は直接は活きてこなかったのでしょうか。これに関しては、90日間の練習だけで激変したわけではなかったなというのが正直な感想です。むしろ、90日間の練習によってできた下地の上で、地道に資料を集めるというスタイルに忠実に絵を描き続けることで、ちょっとずつ成長できるようになったというのが実際のところだと思います。

 『ダテ式おえかき塾』はキャラクターの棒立ち絵を描けるようになることをひとつの目標としているように見えます。棒立ちの素体を描くまでに6週かけ、髪や服もつけてとなるとさらに2週かかり、ポーズ付きの絵を描くレッスンはほとんど終盤です。この最初の8週で何をやるのかというと、キャラの身体を構成するパーツの比率をとにかく覚えるということがメインだったと思います。『ダテ式おえかき塾』に載っている作画方法はかなり細かく、私も詳細な比率を今でも覚えているわけではないのですが、最低限外してはいけないラインについてある程度感覚が身に着いたのは良かったと思います。これは私のように写真をもとに絵を描く方法をとる場合にも重要で、キャラと私とでは体型が全然違うので頭身や骨格の変換を行う必要があるわけですが、この際に絵における基本比率がわかっていると比較的スムーズに変換できる気がします。『ダテ式おえかき塾』でかなり細かく作図練習をやったことによって初めて、自撮りをもとにキャラを描くということが可能になったのだと思います。

 他方で、ポーズとか服のシワとかについては、『ダテ式おえかき塾』にも該当するページはあるのですが、この本のレッスンをやっただけで一朝一夕に身に着きはしませんでした。たとえば、腕の描き方についてはかなり詳しい作図方法が載っているのですが、腕を曲げた場合にこの作図方法をどう応用するんだろうといったことや、アングルが激しく変わった場合にはどうすればいいんだろうといったことに関しては、若干言及はあるものの、この本だけで分かる感じはしませんでした。服のシワについても、シワの種類の分類とか、シワのでき方の原理とか、色々解説はあるのですが、これだけ見ても自由に描けるようにはなりませんでした。これに関してはひたすら実物を観るしかない気がします。ただ、実物を観察するにしても、原理や押さえるべきポイントが知識として頭に入っているのとそうでないのとではかなり違うと思うので、これもまた『ダテ式おえかき塾』で勉強したことに基づいて、ようやく練習そのものが可能になったという感じだと思います。

 まとめると、『ダテ式おえかき塾』をやった90日間で目覚ましい成長があったかというとそうでもなく、しかしその90日間で覚えたことはその後の練習の効率を上げてくれたのかな、と思います。基礎的なことを本で勉強して、その後はとにかく実物を観て描きまくるという道しか私にはなさそうです。もちろんこれは個人的な体験談ですので、他の方々におかれましてはこの限りではないと思います。

 以上が『ダテ式おえかき塾』にまつわる体験レポートでしたが、以下の部分では、絵に関してその後買って良かったものをご紹介します。ひとつは『驚くほどうまくなる! マンガ背景技法 グリッドで背景を描こう』という本で、マンガにおける背景作画に関して実用的なことがかなり書かれていたと思います。それまで背景、とくに人工物にはあまり興味がなかったのですが、自分はこの本を読んで部屋とか階段とかビルとかを描くモチベがめちゃくちゃ上がりました。若干「アンチ・パース」的な思想が述べられているという特徴もありますが、通常のパースの勉強と別にバッティングするわけではないので、パースの基本的な勉強とマンガにおける実践的な作画の勉強ということで分けて考えればよいのだと思います。ちなみにパースの基本的な勉強のためには有名な『パース!』を読んでいます。

 もうひとつはスマホ三脚です。自撮り棒と三脚が一体になっているやつですね。上で言った通り、私の現在のお絵描きにおいては自撮りが重要なので、自撮り用の三脚は重宝しています。ブルートゥースで遠隔シャッターを切れるものもありますが、私は動画で撮ってあとからスクショで画像をつくっているので、この機能はいりませんでした。90cmくらいの高さがあってスマホをインカメで固定できればなんでもいいです。

 私はとことん絵を描く適正がないと思っているので、もはや絵に関してあまり高望みはしていないのですが、マンガを描くにあたってどうしてもある程度絵は描けるようになりたく、練習してきました。現状、これくらいの絵であれば、一枚絵としてのクオリティはあやしいものの、マンガに使っていいだろうとは思っています。今は物語創作の勉強をしていて、16頁くらいのオリジナル短編マンガを描くのが目標です。

*1:この本では基本的に、6~6.5頭身くらいの、萌え絵風の女性人間キャラの描き方に焦点が絞られており、人工物・背景・パース・細かい塗り方といったトピックはほとんど取り上げられていません。とにかくキャラ絵を描きたいという人向きだと思います。