ひかりちゃんの悲観的絵日記

絵日記要素はあるかもしれないしないかもしれない。

色彩検定2級受検レポ

 こんにちは。ひかりです。私は昨年11月に色彩検定3級・2級を受検して合格しました。この記事はその受検の体験記です。

色彩検定を知ったきっかけ

 色彩検定というのは色に関する知識や能力を総合的に問う検定で、私は前回の記事で述べた絵の練習中にこの検定について知りました。当時絵の練習のための教科書として使用していた『ダテ式おえかき塾』には塗りのレッスンは基本含まれていないのですが、終わりの方に色彩に関する記述が若干あります。それを読んで、もう少し詳しく色彩のことを勉強したいと思い、本屋さんに向かったところ、『キャラの魅力を最大限に引き出す!  マンガキャラ配色の教科書』という書籍を見つけたので買いました。これはいわゆる「塗り」の本ではなく、塗りに際してどのように色を選ぶとどのような印象を与えることができるかを実例に即して示している本です。また、色彩理論やPCCS(後述)に関する解説も含んでおり、今思うと色彩検定で学ぶ内容が概要的に押さえられていました。私はこれを読んで、こうした知識は体系化されていそうだし、検定試験とかもありそうだな、と思って調べてみて、色彩検定の存在を知りました。絵を描くうえで色彩の知識は欲しかったし、どうせなら試験勉強的にやった方が身につくだろうと思い、私は色彩検定を受検することに決めました。それが8月の末で、試験日は11月の中旬だったので、準備期間は2ヶ月半ほどです。

色彩検定の概要と試験勉強まわりの環境

 色彩検定には3級・2級・1級・UC級があり、私は3級・2級の併願を選びました。色彩に関する基礎知識を身につけたいということならこの2級までの受検になると思います。それぞれマークシート方式の200点満点の試験で(2級は少しだけ記述もあります)、7割くらいが合否のボーダーラインらしいです。3級と2級の関係は、英検のように2級の方が3級より全体的に難しいというよりは、出題範囲が違う感じです。3級でしかやらない内容もそこそこあるので、上の級を目指す場合でも3級の勉強から始めた方が良いと思います。1級についてはまだ勉強していないので分かりませんが、とりあえず実技試験があるのが2級までとの大きな違いで、難しさも急に上がりそうです。UC級では色のユニバーサルデザインについて知識が問われるようで、自分もスライド作成などそうした知識を求められる場面はあるので、いつか勉強してみたいと思っています。

 色彩検定の3級・2級で学ぶトピックは、ざっくり言うと色の表し方・色に関する理科っぽい話・配色に関わる色彩理論・ファッションやインテリアなどへの色彩理論の応用といったものです。最初に学ぶのは色の表し方で、3級ではPCCS、2級ではマンセル表色系という体系を学習します。ともに色を色相・彩度・明度によって体系的に表すものですが、これらについては暗記事項が多く、正直最初にやる割に一番学習負荷が高いように思います(しかし特にPCCSは覚えないとその先の学習に支障をきたすのでしょうがないのです)。それに加えて慣用色名(「茜色」などの色の名前)も覚えます。微妙な色の違いを見分けたりマイナーな色名を暗記しなければいけないのでこれも結構きついです。私はここで本番落としまくりました。理科っぽい話については、光に関する物理的な事柄や、人間がどうやって色を認識しているかといった生理学的な事柄について学びます。中学理科が少し詳しくなったような感じです。あとはザ・色彩の勉強という感じで、色の対比にはどんな種類があるかとか、それぞれの色が人間に及ぼす心理的効果とか、各配色パターンに結びつけられているイメージとかについて学習した後、そうした知識をファッションやインテリアに応用するとどうなるかといったことを学びます。

 とりあえず私は3級・2級の参考書(非公式)と公式が出している過去問を買って、しばらくは参考書の解説を読んでいました。教科書自体も公式が出していて、今思うと何で公式テキストを選ばなかったのかよく分かりませんが、非公式の参考書には練習問題や模擬試験がついていたのでそのへんはお得感があったかもしれません。ただ、出題内容についてはちょいちょい改訂があるようなので、万全を期すなら最新の公式テキストを買った方がよいと思います。自分はそれで受検直前に2級の参考書を買い直すことになりました(結果的に古いやつで問題ありませんでしたが……)。

試験勉強と受検

 準備期間は2ヶ月半あったと述べましたが、なんやかんやあって結局、試験勉強に関しては直前の追い込みがメインになってしまいました。やったのは参考書をとにかく読んで、練習問題をやり、赤シートで暗記して、参考書付属の模擬試験や実際の過去問を解くといった、まあ普通の受験勉強みたいなことです。そのほか、配色カードを買って色当てゲームをしたり、身近にあるものの色を調べたりもしましたが、こういった訓練はどうしても後回しになりました。前日には摸試や過去問で全部9割はとれていたので、まあ大丈夫だろうということで試験に臨みました。

 本番の試験自体は何事もなく、過去問と同じノリで解くことができました。受検票をバッグのどこにしまったのか分からなくなるというトラブルもありましたが(会場のビルに入ってから自分が受検するフロアに着くまでの間に失くしました。ヤバいですよね)、色検運営様は優しいのでその場で受検票を再発行していただけました。みなさまも当日受検票まわりのトラブルがあっても絶望せずに、とりあえずスタッフの方に相談してみることをおすすめします。

 本番の自己採点ではどちらの級も過去問と同じくらいの出来で、9割は超えていたのでまあ大丈夫だろうと思いました。しばらくしてWeb上で合格発表があり、その後家に合格証等が届きました。これにて私は自己PR欄に「色彩検定2級」と書けるようになりました。めでたしめでたし。

色彩検定を受けて成長した点・しなかった点

 実際に2級をとることよりも、そもそも絵を描くにあたって色彩まわりの能力を上げたいということでの受検だったので、一番気になるのはこの試験勉強を通じてそのあたりの能力がどれくらい向上したかということです。まず、当たり前ですが知識はめちゃくちゃ増えました。PCCSとかマンセルとか、こうした勉強を始めなければ名前すら知らなかったし、理科っぽい事項も案外(?)初めて知ったことが多かったです。配色用語も覚えたので、色について語るにあたってのボキャブラリが増えたと思います。こうした面での成長は、たとえば絵を描くにあたっても、自分がやりたいことを適切に言葉にして色彩設計の計画を立てていくことができるといった点で、後々有利にはたらくのではないかなと思います。

 他方で、色彩感覚が優れている人ということですぐにイメージするような、細かな色の違いを見分けるとか、効果的な配色パターンをセンス良く思いつくとか、そういった能力に関しては正直このやっつけの試験勉強ではあまり伸びませんでした。2級までの色検はほとんどが知識問題で、正直実際に色を見て解くような問題をすべて落としても、知識面が完璧ならば受かると思います。実際に色を見て解くような問題は、たとえば1色を見て色の名前を答えるとか、2色を見て対比の種類を答えるとか、いくつかの色を見て配色パターンの名前を答えるとか、そういったものなのですが、結局最後まで「落とすとしたらこのタイプの問題だな」という苦手意識が残っていました。知識問題は参考書を何周もしたり過去問を解いたりしているうちにほぼ落とさなくなっていくのですが、色の見分けは一朝一夕で能力が向上するようなものではないらしく、しかしそういう能力の向上こそ「色彩感覚の洗練!」と言ったときにはまずイメージするものであると思います。

 まとめると、色検2級までの試験勉強では、色に関する様々な知識は身についたものの、色の微妙な違いを見分けられるとか、センスのいい配色ができるようになるとか、そういった実践的な能力が一気に向上したという感じはしませんでした。後者に関しては配色カードをもっと活用したり、色当てクイズをやったり、日頃から身近なものの色彩に注意を配ったり、実際に絵を描いたりといったトレーニングを経て、徐々に成長していくものなのだと思います。しかし、色について語る基本的な言葉や色に関する科学的知識をもっていたり、配色にまつわるさまざまな概念を身につけていたりすることは、そうしたトレーニングをやるにあたって成長の効率を上げてくれるようなものであるとも思います。

おわりに

 色検受検を経た私の今の絵がどうなのかについては前回の記事をご覧になって判断していただければと思います(最後の絵が色検受検後の絵です)。何にせよ今まで馴染みのなかった分野について知識を得ることは楽しく、ある面では圧倒的成長もあったので、受検してよかったなと思っています。1級やUC級については考え中ですが、気が向いたら受検するかもしれません。